半田市で長屋を解体する費用と注意点|切り離し工事のトラブルを防ぐ方法

「長屋の自分の部分だけ解体したいんだけど…」 「隣の住人に許可をもらわないといけないって本当?」 「切り離し解体って、普通の解体より高くなるの?」

長屋の解体は、通常の戸建て住宅の解体とはまったく異なる特殊な工事です。壁を共有しているため「自分の部分だけ壊す」には隣家への配慮が必要ですし、法律上の手続きも複雑になります。

この記事では、半田市で長屋を解体する際の費用相場から、切り離し工事の注意点、使える補助金、トラブルを防ぐポイントまで詳しく解説します。


そもそも「長屋」とは?

まず、長屋について基本を押さえておきましょう。

長屋の定義

長屋とは、複数の住戸が壁を共有しながら横に連なっている建物のことです。一軒一軒が独立した住戸として存在していますが、隣の家と壁・屋根・基礎などを共有しています。

「テラスハウス」「連棟住宅」「二戸一」「三戸一」なども同じ形式の建物を指します。関西地方では「文化住宅」と呼ばれることもあります。

長屋の特徴

  • 玄関や階段・廊下は各住戸で独立(マンションとは異なる)
  • 隣の住戸と壁・屋根・基礎を共有している
  • 1階建てが多いが、2階建て以上のものも存在
  • 区分所有法の適用を受ける

この「壁を共有している」という点が、解体工事を複雑にする最大の要因です。


長屋の解体は2種類ある

長屋の解体には、大きく分けて2つのパターンがあります。

パターン1:長屋全体を解体する

所有者全員の合意のもと、長屋の建物全体を取り壊すケースです。この場合は通常の解体工事とほぼ同じ流れで進みます。

メリット:

  • 通常の解体工事と同じ手順で進められる
  • 費用を所有者全員で分担できる
  • 切り離し・補修工事が不要

パターン2:自分の部分だけを解体する(切り離し解体)

長屋の一部のみを解体し、隣家はそのまま残すケースです。こちらが**「長屋切り離し」**と呼ばれる特殊な解体工事になります。

特徴:

  • 隣家と共有している壁を慎重に切り離す
  • 切り離した後、隣家の外壁を補修する必要がある
  • 重機が使えず手作業が中心になることが多い
  • 費用が割高になる

この記事では、主にこの「切り離し解体」について詳しく解説していきます。


長屋切り離しの費用相場

切り離し解体の費用目安

規模費用相場
木造2階建て・20坪程度60万〜150万円
坪単価の目安4万〜6万円程度
外壁補修費用30万〜100万円以上

一般的な木造住宅の解体費用が坪単価3万〜4万円程度なのに対し、長屋の切り離し解体は割高になります。

実際の解体事例

事例1:木造2階建て・18.9坪

  • 解体費用:約102万円
  • 付帯工事:約5万円
  • 工期:6日間

事例2:木造2階建て・27坪

  • 解体費用:約98万円
  • 付帯工事:約15万円
  • 工期:6日間

事例3:木造平屋・15.6坪(アスベスト含有)

  • 解体費用:約94万円
  • 付帯工事:約10万円
  • 工期:6日間

事例4:木造+一部RC造2階建て・29.4坪

  • 解体費用:約148万円
  • 工期:記載なし

費用の内訳

長屋切り離し解体の見積もりには、通常以下の項目が含まれます。

  1. 解体工事費:建物本体の解体
  2. 切り離し工事費:隣家との共有部分を分離する作業
  3. 外壁補修費:隣家の壁を補修する費用
  4. 養生費:足場・防塵シートの設置
  5. 廃材処分費:産業廃棄物の運搬・処分
  6. 整地費:更地にする作業

なぜ長屋切り離しは高いのか?5つの理由

1. 手作業が中心になる

通常の解体工事では重機を使って効率的に壊しますが、長屋切り離しでは隣家を傷つけないよう手作業で慎重に進める必要があります。

重機で一気に壊すと、振動や衝撃で隣家にヒビが入ったり、最悪の場合は倒壊する危険もあります。

2. 外壁補修工事が必要

切り離した後、隣家に残った壁は「内壁」から「外壁」になります。内壁と外壁では構造が異なるため、耐震性・防火性・防水性を満たす補修工事が必要です。

外壁補修の素材には以下のような種類があります:

  • トタン外壁
  • モルタル外壁
  • サイディング外壁
  • ALC外壁

どの素材を使うかで費用も変わりますが、30万〜100万円以上かかることがあります。

3. 専門技術が必要

長屋の切り離しは、残す柱と切っても良い柱の見極めや、切り離し後の耐震補強など、高度な技術と経験が求められます。

熟練の業者であれば、見積もり前に屋根裏や床下をチェックし、通し梁の状態や補強方法を検討してから見積もりを出します。

4. 隣家への配慮が必要

解体中は隣家に人が住んでいることも多く、騒音・振動・粉塵への配慮が欠かせません。作業時間の制限や、より丁寧な養生が求められます。

5. 工期が長くなる

手作業が多いため、通常の解体より工期が長くなります。工期が延びれば人件費も増加し、結果的に費用がかさみます。


長屋切り離しに必要な「同意」とは

長屋の解体で最も重要なのが、他の所有者からの同意を得ることです。

法律上の根拠

長屋は「区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)」の適用を受けます。この法律により、共用部分(壁・屋根・柱・梁など)の変更には所有者の4分の3以上の同意が必要とされています。

区分所有法 第17条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。 2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

具体的に誰の同意が必要?

長屋の形態必要な同意
2軒長屋隣家の所有者の同意が必須
3軒長屋所有者の4分の3以上(3人中3人または2人)
4軒以上所有者の4分の3以上+隣接住戸の所有者

重要: 隣家は内壁が外壁に変わることで「特別の影響」を受けるため、隣接する住戸の所有者からは必ず承諾が必要です。

同意が得られないとどうなる?

所有者の同意を得ずに勝手に解体を始めると、法的に罰せられる可能性があります。

実際に、無断で切り離し工事を行って新築した事例では、裁判で「建物収去(取り壊し)」を命じられたケースもあります。


長屋切り離しでよくあるトラブル

長屋の解体は、建物解体の中でも最もトラブルが多い工事の一つと言われています。

トラブル1:同意が得られない・後から反対される

一度は合意したものの、後になって「やっぱり反対」と言われるケースがあります。

対策:

  • 口頭だけでなく、書面(覚書)で合意を残す
  • 解体業者に同席してもらい、工事内容を詳しく説明する
  • 十分な時間をかけて交渉する

トラブル2:補修の範囲・方法で揉める

「もっと良い素材で補修してほしい」「補修が不十分だ」といったクレームが発生することがあります。

対策:

  • 補修の責任範囲を事前に書面で明確化する
  • 「現状と同程度の状態に戻す」ことが施主の責任であることを説明
  • 隣家が「それ以上の性能」を希望しても、その費用負担は不要

トラブル3:工事中・工事後の損傷

切り離し工事によって隣家にヒビが入った、雨漏りが発生した、といったトラブルです。

対策:

  • 工事前に隣家の状態を写真で記録しておく
  • 元々あったヒビなのか、工事で生じたヒビなのかを証拠として残す
  • 信頼できる解体業者を選ぶ

トラブル4:騒音・振動によるクレーム

解体工事はどうしても騒音・振動が発生します。

対策:

  • 工事前に近隣への挨拶と説明を行う
  • 工事時間や期間を事前に伝えておく
  • 法律の基準値内で作業していることを説明できるようにする

半田市で使える補助金

木造建築物取壊工事費補助金

半田市には「木造建築物取壊工事費補助金」という制度があり、条件を満たせば最大20万円の補助が受けられます。

対象となる条件:

  1. 延べ床面積が10㎡以上の木造建築物
  2. 無料耐震診断で判定値1.0未満と診断されたもの
  3. 半田市木造住宅耐震改修費補助金の交付を受けていないもの
  4. 建物が道路・隣地境界線から軒高以内の距離にあるもの
  5. 解体後1年間は建築行為をしないこと

長屋は補助金の対象になる?

長屋も「木造建築物」に該当するため、条件を満たせば対象になる可能性があります。

ただし、以下の点に注意が必要です:

  • 耐震診断を受ける必要がある
    • 昭和56年5月31日以前に建てられた建物が対象
    • 長屋全体で診断を受ける必要があるか、自分の部分だけで良いかは要確認
  • 切り離し解体の場合の扱い
    • 長屋全体を解体する場合と、一部を切り離す場合で取り扱いが異なる可能性
    • 事前に市役所への相談が必須

補助金の注意点

  • 工事契約・着手前に申請する必要がある
  • 工事完了後に支給される(後払い方式)
  • 年度予算に上限があり、予算切れで受付終了の可能性も

相談先

半田市役所 建設部 建築課 建築指導担当

  • 電話:0569-84-0671(直通)
  • 代表:0569-21-3111
  • 場所:市役所3階

「長屋の切り離し解体でも補助金は使えますか?」と、まずは電話で相談してみてください。


長屋切り離し解体の流れ

ステップ1:所有者全員から同意を得る

まず最初にやるべきことです。同意が得られなければ工事は進められません。

  • 隣接する住戸の所有者
  • 長屋全体の所有者の4分の3以上

工事内容、補修方法、工事期間などを丁寧に説明し、書面で合意を残しましょう

ステップ2:解体業者を選定する

長屋切り離しの経験が豊富な業者を選ぶことが重要です。

業者選びのポイント:

  • 「長屋の切り離し解体をどのくらい経験していますか?」と質問する
  • 見積もり前に屋根裏・床下をチェックしてくれる業者は信頼できる
  • 外壁補修も含めてワンストップで対応できるか確認
  • 複数社から見積もりを取る

ステップ3:事前調査・見積もり

業者が現地調査を行い、以下を確認します。

  • 建物の構造(通し梁の状態など)
  • 隣家との共有部分の状況
  • 重機が使えるかどうか
  • 補修の方法・範囲

この調査をもとに詳細な見積書が作成されます。

ステップ4:隣家の状態を記録

工事前に、隣家の外壁や内壁の状態を写真で記録しておきます。これが後々のトラブル防止に役立ちます。

ステップ5:(該当する場合)補助金を申請

補助金の対象になる場合は、工事契約前に申請します。

ステップ6:近隣への挨拶

工事の内容、期間、作業時間などを近隣住民に説明します。隣家には特に丁寧な説明が必要です。

ステップ7:解体工事の実施

  1. 足場・養生シートの設置
  2. 残置物の撤去(家財道具などを処分)
  3. 屋根の解体(上から順に進める)
  4. 切り離し作業(隣家との共有部分を慎重に分離)
  5. 建物本体の解体
  6. 廃材の分別・搬出
  7. 隣家の外壁補修
  8. 整地

ステップ8:最終確認・引き渡し

工事完了後、隣家に損傷がないか確認します。問題があれば速やかに補修を行います。


費用を抑えるコツ

1. 長屋全体で解体する選択肢を検討

もし他の所有者も将来的に解体を考えているなら、まとめて解体したほうが費用を抑えられます。

  • 切り離し工事・外壁補修が不要になる
  • 費用を所有者全員で分担できる
  • 工事の効率が良くなる

2. 複数の業者から見積もりを取る

長屋切り離しの経験が豊富な業者を2〜3社選んで見積もりを比較しましょう。

ただし、安すぎる業者には注意が必要です。経験不足の業者に依頼すると、隣家を傷つけたり、追加費用が発生したりするリスクがあります。

3. 残置物は自分で処分する

建物内に残っている家財道具などは、できるだけ自分で処分しましょう。業者に依頼すると産業廃棄物として処分費がかかります。

4. 補助金を活用する

半田市の補助金が使えれば、最大20万円の自己負担を減らせます。

5. 閑散期を狙う

解体業者の繁忙期(春〜夏、年度末)を避け、**閑散期(秋〜冬)**に依頼すると割引を受けられることがあります。


解体業者の選び方

長屋切り離しでは、業者選びが成功のカギを握ります。

チェックポイント

確認項目良い業者の特徴
経験長屋切り離しの実績が豊富
事前調査見積もり前に屋根裏・床下をチェックする
説明施工計画を丁寧に説明してくれる
外壁補修大工・工務店との連携がある
対応隣家への挨拶・説明を丁寧に行う

避けるべき業者

  • 電話だけで見積もりを出す業者
  • 事前調査なしに安い金額を提示する業者
  • 切り離し解体の経験がない・少ない業者
  • 途中で費用アップを言い出しそうな業者

よくある質問

Q. 隣家が同意してくれない場合はどうすれば?

A. 粘り強く交渉するしかありません。

同意なく工事を進めると法的に問題になります。条件を提示しながら交渉を続けるか、弁護士に相談することも検討してください。

どうしても同意が得られない場合は、解体ではなく売却やリフォームなど別の選択肢を考える必要があるかもしれません。

Q. 切り離し後、隣家の強度は大丈夫?

A. 適切な補修・補強工事を行えば問題ありません。

ただし、切り離すと隣家の耐震性が下がることは事実です。そのため、元の強度を維持する補修工事が施主の責任となります。

Q. 工期はどれくらいかかる?

A. 小規模な長屋で1週間〜2週間程度が目安です。

建物の規模、構造、立地条件によって変わります。手作業が多いため、通常の解体より長くなります。

Q. 補修後の外壁の費用は誰が負担する?

A. 解体する側(施主)が負担するのが一般的です。

ただし、隣家が「もっと良い素材にしてほしい」と要求しても、それに応じる義務はありません。現状と同程度の補修が施主の責任範囲です。


まとめ:半田市で長屋を解体するなら

長屋の切り離し解体は、通常の解体工事より複雑で費用もかかりますが、正しい知識と準備があればスムーズに進められます。

ポイント内容
費用相場60万〜150万円(20坪程度の場合)
外壁補修30万〜100万円以上
必要な同意所有者の4分の3以上+隣接住戸の承諾
補助金最大20万円(条件あり・要事前相談)
業者選び切り離し解体の経験が豊富な業者を選ぶ
トラブル防止書面での合意、事前の写真記録が重要

長屋の解体を検討している方は、まず以下の順番で進めてください:

  1. 他の所有者に解体の意向を伝え、同意を得る
  2. 半田市役所に補助金の対象になるか相談する
  3. 長屋切り離しの経験が豊富な解体業者に見積もりを依頼する
  4. 書面で合意を残し、隣家の状態を写真で記録する
  5. 工事前に近隣への挨拶を行う

長屋の解体は「焦らず、丁寧に、書面で」が鉄則です。信頼できる業者と一緒に、トラブルのない解体工事を進めてくださいね。


お問い合わせ先

半田市役所 建設部 建築課 建築指導担当

  • 電話:0569-84-0671(直通)
  • 代表:0569-21-3111
  • 場所:市役所3階
  • 住所:〒475-8666 愛知県半田市東洋町二丁目1番地

この記事の情報は2025年11月時点のものです。最新の情報は必ず半田市役所にご確認ください。