常滑市で擁壁を撤去する方法|費用相場・工事の流れ・注意点を解説

常滑市は知多半島の丘陵地に位置し、高低差のある土地が多いため、敷地内や敷地境界に擁壁(ようへき)が設置されている住宅も少なくありません。

「古い擁壁にひび割れが出てきて危険を感じる」 「建て替えに伴い、既存の擁壁を撤去したい」 「敷地を広く使うために擁壁を解体して造成し直したい」

このような理由から、擁壁の撤去を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、擁壁の種類と特徴、撤去が必要になるケース、解体・撤去にかかる費用の目安、工事の流れ、注意点などを詳しく解説します。常滑市で擁壁の撤去を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


擁壁とは?

擁壁とは、高低差のある土地で土砂の崩壊を防ぐために設置される壁状の構造物です。傾斜地や段差のある敷地では、土圧(土が崩れようとする力)を受け止めて地盤を安定させる重要な役割を果たしています。

常滑市は知多半島の丘陵地帯に位置し、市域の大部分は緩やかな丘陵地となっています。平地は海沿いの比較的狭い部分に限られるため、住宅地の多くに高低差があり、擁壁が設置されているケースが少なくありません。


擁壁の種類と特徴

擁壁にはいくつかの種類があり、それぞれ構造や強度が異なります。種類によって解体方法や費用も変わるため、まずは自宅の擁壁がどのタイプかを確認しましょう。

鉄筋コンクリート(RC)擁壁

鉄筋で補強されたコンクリート製の擁壁です。現在の住宅地で最も多く採用されている種類で、強度が高く安全性に優れています。

形状によって以下のように分類されます。

  • L型擁壁: 断面がL字型で、底版の上に土を載せて安定させる
  • 逆T型擁壁: 断面が逆T字型で、より大きな土圧に対応できる
  • 逆L型擁壁: 敷地側に底版が伸びる形状

鉄筋コンクリート造の擁壁は解体に時間と労力がかかるため、撤去費用も高くなる傾向があります。

コンクリート(無筋コンクリート)擁壁

鉄筋が入っていないコンクリート製の擁壁です。擁壁自体の重量で土圧に抵抗する「重力式擁壁」や、背面の地盤に寄りかかって支える「もたれ式擁壁」などがあります。

RC擁壁と比べると強度は劣りますが、地盤が良好な場所では十分な安全性を確保できます。

間知ブロック積み擁壁

間知ブロック(けんちブロック)と呼ばれるコンクリートブロックを積み上げて作る擁壁です。城の石垣と同じような構造で、ひとつのブロックが周囲の6個のブロックに接するため、土圧を分散させる効果があります。

裏側にコンクリートを打設して固めた「練積み」は比較的強度があり、5m程度の高さまで対応できます。

間知石積み擁壁

間知ブロックの代わりに天然の石(間知石)を積み上げた擁壁です。見た目が自然で風格がありますが、施工には職人の技術が必要で、現在ではあまり新設されません。

石と石の間をモルタルやコンクリートで固めた「練り石積み」は比較的強度がありますが、固めていない「空石積み」は崩壊の危険性が高いため注意が必要です。

大谷石積み擁壁

大谷石(おおやいし)という軽石凝灰�ite(栃木県産)を積み上げた擁壁です。加工しやすいことから昭和時代に多く作られましたが、耐久性に問題があり、現在では使用されていません。

大谷石積みの擁壁がある場合は、劣化状況を確認し、必要に応じて撤去・建て替えを検討する必要があります。

コンクリートブロック擁壁

一般的なコンクリートブロック(CB)を積んだ擁壁です。本来は塀として使用されるものであり、土圧を受ける擁壁としては強度が不十分です。

高さ2mを超えるようなコンクリートブロック擁壁は「既存不適格」となる場合が多く、建て替えや売却の際に問題になることがあります。


擁壁の撤去が必要になるケース

擁壁の撤去が必要になる主なケースは以下のとおりです。

ケース1:擁壁の老朽化・劣化

擁壁に以下のような症状が見られる場合は、安全性に問題がある可能性があります。

  • ひび割れ(クラック)が発生している
  • 擁壁が傾いている、膨らんでいる
  • 石やブロックがずれている、抜け落ちている
  • 水抜き穴から水が出ていない、または大量に漏水している
  • 擁壁の背面から土砂が流出している

軽微なひび割れであれば補修で対応できることもありますが、構造的な問題がある場合は撤去・建て替えが必要です。

ケース2:建て替えに伴う擁壁の更新

住宅の建て替えを行う際、既存の擁壁が現行の建築基準に適合していない場合は、擁壁の撤去・新設が必要になることがあります。

特に、愛知県の「がけ条例」(愛知県建築基準条例第8条)では、高さ2mを超える崖に近接する土地に建物を建てる場合、崖の高さの2倍以上の距離を建物から離すか、安全な擁壁を設置する必要があります。

ケース3:敷地の有効活用

擁壁を撤去または造り直すことで、敷地を有効活用できる場合があります。

  • 擁壁を撤去して敷地を広げる
  • 擁壁の位置を変更して建物の配置を変える
  • 傾斜のある敷地を造成し直して平らにする

ケース4:土地の売却・相続

土地を売却したり相続したりする際、擁壁に問題があると不動産取引でトラブルになることがあります。安全性に問題がある擁壁は、売却前に撤去・新設しておくことで、スムーズな取引につながります。


擁壁撤去の費用相場

擁壁の撤去費用は、擁壁の種類、大きさ(高さ・長さ)、立地条件などによって大きく異なります。以下は一般的な費用の目安です。

擁壁の種類別の撤去費用

擁壁の種類1㎡あたりの費用目安
鉄筋コンクリート(RC)擁壁17,000円〜35,000円
コンクリート(無筋)擁壁14,000円〜30,000円
間知ブロック積み擁壁10,000円〜25,000円
間知石積み擁壁10,000円〜25,000円
大谷石積み擁壁8,000円〜20,000円

擁壁撤去の総費用の目安

一般住宅の擁壁撤去では、数十万円〜数百万円程度が目安となります。

擁壁の規模費用目安
小規模(高さ1〜2m、長さ5m程度)30万〜80万円
中規模(高さ2〜3m、長さ10m程度)80万〜200万円
大規模(高さ3m以上、長さ15m以上)200万〜500万円以上

費用に影響する要因

擁壁撤去の費用は、以下の要因によって変動します。

1. 擁壁の構造と素材

鉄筋コンクリート擁壁は強度が高い分、解体に時間と労力がかかります。一方、石積みやブロック積みの擁壁は比較的解体しやすいですが、量が多いと費用がかさみます。

2. 擁壁の大きさ(高さ・長さ・厚み)

当然ながら、擁壁が大きくなるほど費用は高くなります。高さのある擁壁は足場が必要になったり、安全対策に費用がかかったりします。

3. 立地・周辺環境

常滑市の旧市街地など道路が狭い場所では、大型重機が入れず、小型重機や人力での解体が必要になることがあります。また、隣家との距離が近い場合は、養生や騒音・振動対策に費用がかかります。

4. 廃材の処分費用

解体で発生するコンクリートやブロック、石などの廃材は、産業廃棄物として適切に処分する必要があります。廃材の量が多いほど処分費用がかかります。

5. 山留め・仮設擁壁の必要性

擁壁を撤去すると、背面の土砂が崩れる恐れがあります。撤去と同時に山留め(土砂崩れ防止の仮設壁)を設置する必要がある場合は、その費用が追加されます。


擁壁撤去工事の流れ

擁壁の撤去工事は、一般的に以下の流れで進められます。

STEP1:現地調査・測量

まず、解体業者が現地を訪問し、擁壁の状態を確認します。

  • 擁壁の種類、高さ、長さ、厚みの測定
  • 擁壁の劣化状況の確認
  • 周辺の土地との関係(高低差、隣地との距離など)
  • 重機の搬入経路の確認
  • 土砂崩れのリスク評価

STEP2:見積もり・契約

現地調査の結果をもとに、解体業者が見積もりを作成します。見積書には以下の項目が含まれているか確認しましょう。

  • 擁壁解体費用
  • 山留め・仮設工事費用(必要な場合)
  • 廃材の運搬・処分費用
  • 足場・養生費用
  • 近隣対策費用(警備員、交通誘導など)

STEP3:近隣への挨拶

工事開始前に、近隣住民への挨拶を行います。擁壁は隣地との境界に設置されていることが多いため、隣家への説明は特に重要です。

  • 工事の内容と期間
  • 作業時間帯
  • 騒音・振動への配慮
  • 緊急連絡先

STEP4:山留め・仮設工事

擁壁を撤去すると背面の土砂が崩れる恐れがあるため、解体と同時進行で山留め工事を行います。

山留めの方法には、鋼矢板を打ち込む方法や、親杭横矢板工法などがあります。状況に応じて最適な方法が選択されます。

STEP5:擁壁の解体・撤去

擁壁の種類に応じた方法で解体を進めます。

間知ブロック・石積み擁壁の場合

上から順にブロックや石を取り外し、重機で搬出します。裏込めコンクリートがある場合は、コンクリートも一緒に撤去します。

コンクリート擁壁の場合

以下のような工法で解体します。

  • ワイヤーソー工法: ダイヤモンドワイヤーでコンクリートを切断
  • バースター工法: コンクリートに穴を開け、油圧で割る
  • 圧砕機(クラッシャー): 重機に取り付けた圧砕機でコンクリートを砕く
  • ブレーカー: ハンマーでコンクリートを砕く

STEP6:廃材の運搬・処分

解体で発生したコンクリートガラ、ブロック、石などの廃材は、産業廃棄物として適切に処分されます。

コンクリートガラは、破砕して再生砕石(路盤材など)としてリサイクルされることが多いです。

STEP7:整地・後処理

擁壁を撤去した後の土地を整地します。新しい擁壁を設置する場合は、続けて擁壁新設工事に移ります。


擁壁撤去の注意点

注意点1:擁壁の所有者を確認する

擁壁は敷地の境界に設置されることが多いため、自分の所有物なのか隣家の所有物なのか、あるいは共有なのかを確認する必要があります。

所有者が不明確なまま撤去を進めると、「うちの擁壁を勝手に壊した」とトラブルになる恐れがあります。

境界確定測量を行い、擁壁の所有関係を明確にしてから工事に着手しましょう。

注意点2:隣地への影響を考慮する

擁壁を撤去すると、隣地の地盤が不安定になったり、土砂が流出したりする恐れがあります。

特に、隣家の建物が擁壁の近くに建っている場合は、工事による振動や地盤の変化が建物に影響を与える可能性があります。

事前に隣家に説明し、工事中も状況を報告するなど、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

注意点3:がけ条例への適合を確認する

愛知県では、高さ2mを超える崖に近接する土地に建物を建てる場合、「がけ条例」(愛知県建築基準条例第8条)の規制を受けます。

擁壁を撤去した後、新しい擁壁を設置しない場合は、建物の配置に制限がかかる可能性があります。

建て替えを予定している場合は、建築士に相談し、がけ条例への適合を確認した上で擁壁撤去を計画しましょう。

注意点4:工作物確認申請が必要な場合がある

高さ2mを超える擁壁を新設する場合は、建築基準法に基づく「工作物確認申請」が必要です。

また、擁壁の撤去に伴い土地の形状が大きく変わる場合は、「宅地造成等規制法」に基づく許可が必要になることもあります。

必要な手続きは、常滑市役所の建設部都市計画課に相談して確認しましょう。

注意点5:撤去後の計画を明確にしておく

擁壁を撤去した後、どうするかを事前に明確にしておく必要があります。

  • 新しい擁壁を設置するのか
  • 擁壁なしで土地を造成し直すのか
  • 傾斜地のまま活用するのか

撤去と同時に新設工事を行う場合は、一体で計画することで費用を抑えられる場合があります。


擁壁撤去の業者の選び方

ポイント1:擁壁工事の実績があるか

擁壁の解体は、一般的な建物解体とは異なる専門知識が必要です。山留めや土砂崩れ対策など、擁壁特有の作業に慣れた業者を選びましょう。

ポイント2:現地調査を丁寧に行うか

擁壁の状態や周辺環境を正確に把握するためには、現地調査が不可欠です。現地を見ずに見積もりを出す業者は避けた方が無難です。

ポイント3:見積書の内訳が明確か

見積書には、解体費用、山留め費用、廃材処分費用などの内訳が明記されているか確認しましょう。「一式」とだけ書かれた不明瞭な見積もりは要注意です。

ポイント4:許可・保険を確認する

解体業者は「解体工事業登録」または「建設業許可」を持っている必要があります。また、万が一の事故に備えて賠償責任保険に加入しているかも確認しましょう。

ポイント5:複数社から見積もりを取る

擁壁撤去の費用は業者によって大きく異なることがあります。少なくとも3社から見積もりを取り、内容と価格を比較検討しましょう。


擁壁の撤去と新設を検討する場合

擁壁を撤去した後、新しい擁壁を設置する場合は、以下の点を考慮しましょう。

新設擁壁の種類の選択

新しく設置する擁壁は、土地の条件や予算に応じて選択します。

擁壁の種類特徴費用目安(1㎡あたり)
RC(鉄筋コンクリート)擁壁強度が高い、垂直に近い形状が可能5万〜13万円
間知ブロック積み擁壁比較的低コスト、斜めの形状3万〜8万円
プレキャスト擁壁工場生産品、工期短縮が可能4万〜10万円

撤去と新設を一体で発注するメリット

擁壁の撤去と新設を同じ業者に一括で依頼すると、以下のメリットがあります。

  • 仮設工事(山留めなど)を共用できる
  • 段取りが効率化され、工期が短縮できる
  • 別々に発注するより費用を抑えられることが多い

よくある質問(Q&A)

Q1. 擁壁にひび割れがありますが、すぐに撤去が必要ですか?

軽微なひび割れであれば、補修(モルタル注入など)で対応できる場合もあります。ただし、構造的な問題がある場合は撤去・新設が必要です。まずは専門業者に診断してもらいましょう。

Q2. 隣家との境界にある擁壁を撤去したいのですが、勝手に解体できますか?

擁壁の所有者が自分であっても、撤去によって隣地に影響が出る可能性があるため、隣家への事前説明と合意が必要です。所有者が不明確な場合は、まず境界確定を行いましょう。

Q3. 擁壁を撤去せずに、補強だけで済ませることはできますか?

擁壁の状態によっては、補強・補修で対応できる場合があります。主な補強方法として、モルタル注入、コンクリート被覆、アンカー補強などがあります。補強費用は数万円〜数十万円程度が目安です。

Q4. 擁壁撤去に補助金は使えますか?

常滑市には、擁壁撤去に特化した補助金制度はありません。ただし、危険な空き家の解体に伴う擁壁撤去であれば、「危険空家住宅除却費補助金」の対象となる可能性があります。詳しくは市役所にお問い合わせください。

Q5. 擁壁の撤去工事にはどのくらいの期間がかかりますか?

工事期間は擁壁の規模や状況によって異なりますが、小規模な擁壁であれば1週間程度、大規模な擁壁や新設工事を伴う場合は1〜2か月程度かかることもあります。


まとめ:擁壁撤去は専門業者に相談を

常滑市は丘陵地が多く、擁壁のある住宅も少なくありません。擁壁は土地の安全を守る重要な構造物ですが、老朽化すると逆に危険性が増すこともあります。

擁壁に問題がある場合は、早めに専門業者に相談し、適切な対応を検討しましょう。

  • 軽微な劣化であれば補修で対応
  • 構造的な問題がある場合は撤去・新設を検討
  • 建て替えの際は、がけ条例への適合を確認
  • 隣家との関係に十分配慮する
  • 複数の業者から見積もりを取って比較検討

信頼できる業者を選び、安全で適切な工事を行うことが大切です。


常滑市の相談窓口

建築確認・がけ条例に関する相談
常滑市役所 建設部 都市計画課
電話:0569-47-6122

宅地造成等規制法に関する相談
愛知県 建設局 建築指導課
電話:052-954-6587

不動産取引・境界に関する相談
愛知県宅地建物取引業協会
電話:052-522-2567